微分とは何かを分かりやすくするコツは「速度」にある

 

関数 \(f(x)\) に対して、以下の式で表される導関数 \(f'(x)\) を求めることを「関数 \(f(x)\) を微分する」と言います。

$$\displaystyle f'(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} $$

 

数式だけ見ていると、何について計算しているのかがピンと来にくいですよね。

そんな微分を直感的に理解するのに使えるのが、「速度」です。

 

この記事では「速度」を通じて4つのステップから微分の仕組みを見ていきます。

 

微分がわかる4つのステップ

地上から宇宙に向けて物体Aを発射します。

物体Aは、発射してから \(x\) 秒後に地上 \(f(x)=x^2\) m 地点を通過します。

ここで、この物体Aの速度について考えてみましょう。

step①2秒間の平均速度

$$\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a} $$

問1.「発射してから\(3\)秒後」から「発射してから\(5\)秒後」までの平均速度は何m/秒?
(\(a=3,b=5\))

 

物体Aは、発射してから\(3\)秒後に地上\(9\)m地点を通過し、\(5\)秒後に地上\(25\)m地点を通過します。

つまり、\(2\)秒間に\(16\)m進むということですよね。

 

これを速度を求める公式「\(速度=距離÷時間\)」に当てはめると、「発射してから\(3\)秒後~\(5\)秒後」の平均速度は\(16÷2=8\)m/秒と求まります。

$$\displaystyle 変化の割合=\frac{f(5)-f(3)}{5-3}\\=\frac{25-9}{5-3}=8[m/秒] $$

 

step②h秒間の平均速度

$$\displaystyle \frac{f(a+h)-f(a)}{h} $$

問2.「発射してから\(3\)秒後」から「発射してから \(3+h\) 秒後」までの平均速度は何m/秒?

 

物体Aは、発射してから \(x\) 秒後に地上 \(x^2\) m 地点を通過するわけですから、発射してから\(3\)秒後に地上\(9\)m地点を通過し、\(3+h\) 秒後には地上 \((3+h)^2=9+6h+h^2\) m地点を通過します。

 

つまりは、\(h\) 秒間に \(6h+h^2\) m進むということになります。

 

これを速度の公式「\(速度=距離÷時間\)」に当てはめると、「\(3\)秒後~\(3+h\) 秒後」の平均速度は \(6+h\) m/秒だと分かります。

$$\displaystyle 変化の割合=\frac{f(3+h)-f(3)}{(3+h)-3}\\=\frac{(3+h)^2-9}{h}=\frac{(9+6h+h^2)-9}{h}\\=\frac{6h+h^2}{h}=6+h[m/秒] $$

 

Tooda Yuuto
実際に \(h=2\) を代入すると、「発射してから\(3\)秒後」から「発射してから\(5\)秒後」までの平均速度は \(6+2=8\)m/秒となり、step①の答えと一致していますね。

 

 

さて、今「発射してから\(3\)秒後」から「発射してから \(3+h\) 秒後」までの平均速度が分かりました。

では、ここで \(h\) を限りなく \(0\) に近づけていくと何が求まるでしょうか?

 

 

答えは「発射してから\(3\)秒後」から「発射してから\(3.000\cdots\)秒後」までの平均速度。

すなわち「発射してから\(3\)秒後」時点での瞬間的な速度を考えることができるようになります。

 

step③3秒後の瞬間的な速度

$$\displaystyle f'(a)=\lim_{h \to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h} $$

問3.「発射してから\(3\)秒後」時点での瞬間速度は何m/秒?

 

「\(3\)秒後~\(3+h\) 秒後」の平均速度 \(6+h\) m/秒について、\(h\) を限りなく \(0\) に近づけると \(6+h→6\)m/秒。

ここから、「発射してから\(3\)秒後」時点での瞬間的な速度は\(6\)m/秒ということができます。

 

$$\displaystyle f'(3)=\lim_{h \to 0}\frac{f(3+h)-f(3)}{(3+h)-3}\\=\lim_{h \to 0}\frac{(9+6h+h^2)-9}{h}\\=\lim_{h \to 0}(6+h)=6[m/秒] $$

この瞬間的な変化の割合 \(f'(3)\) のことを「\(x=3\) における微分係数」と言います。

 

 

「発射してから\(3\)秒後」時点での瞬間的な速度を求められたら、次は「発射してから\(1\)秒後・\(5\)秒後・\(7\)秒後・\(15\)秒後」の瞬間的な速度も求めてみましょう。

 

「ここまでの長い手順をまた1つ1つ計算していくのは面倒だな…」と感じる方も多いかもしれませんが大丈夫、1つ1つ計算する手間を省く便利な方法があります。

 

それが、「発射してから \(x\) 秒後」時点での瞬間的な速度を \(x\) の関数として求めること。

 

「発射してから \(x\) 秒後」時点での瞬間的な速度を \(x\) の関数として求めることができれば、その \(x\) の関数に \(x=1,5,7,15\) を代入するだけで各時点での瞬間的な速度をパッと求められるようになります。

 

step④x秒後の瞬間的な速度=微分する

$$\displaystyle f'(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} $$

問4.「発射してから \(x\) 秒後」時点での瞬間速度は何m/秒?

 

「発射してから \(x\) 秒後」時点での瞬間的な速度を \(x\) の関数としてまとめて計算してみましょう。

物体Aは、発射してから \(x\) 秒後に地上 \(x^2\)m地点を通過し、\(x+h\) 秒後には地上 \((x+h)^2=x^2+2xh+h^2\) m地点を通過します。

 

つまりは、\(h\) 秒間に \(2xh+h^2\) m進むということ。

これを速度の公式に当てはめると「\(x\) 秒後~\(x+h\) 秒後」の平均速度は \(2x+h\) m/秒。

\(h\) を限りなく \(0\) に近づけると \(2x+h→2x\) m/秒。

 

$$\displaystyle f'(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{(x+h)-x}\\=\lim_{h \to 0}\frac{(x^2+2xh+h^2)-x^2}{h}\\=\lim_{h \to 0}(2x+h)=2x[m/秒] $$

結果、「発射してから \(x\) 秒後」時点での瞬間的な速度は \(f'(x)=2x\) と求まりました。

 

 

以上のように、「瞬間的な変化の割合 \(f'(x)\) を求めること」。それが微分です。

微分する=導関数を求める=瞬間的な変化の割合を求める

 

色んなものが絶えず変化し続ける経済問題・社会問題において、「瞬間的な変化の割合がプラスからマイナスに切り替わる瞬間」「瞬間的な変化の割合がもっとも大きい瞬間」を知りたいケースは少なくありません。

 

微分はそんな要望にビシッと答えてくれる、応用範囲の広いツールとなっています。

 

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Tooda Yuuto

数字とにらめっこする日々を送る社会人。当たり前なようで意外と当たり前じゃないことを日々探しています。
大阪大学卒/統計検定1級/趣味は旅行・温泉