
円に内接する四角形 \(ABCD\) には「向かい合う2組の辺をかけ算して足すと、対角線の積と等しくなる」という性質があります。
これを、トレミーの定理と言います。
このページでは、このトレミーの定理の証明と使い方を解説していきます。
トレミーの定理の証明
トレミーの定理の証明には、余弦定理を使います。
\(AB=a,BC=b,CD=c\), \(AD=d,AC=e,BD=f\) と置いて
トレミーの定理「\(ac+bd=ef\)」を証明してみましょう。

まず初めに、\(∠B=θ\) とおきます。
すると、円に内接する四角形の性質から「対角の和は \(180°\)」なので、\(∠D=180°-θ\) だと分かりますね。
次に、三角形 \(ABC\) と三角形 \(ADC\) について余弦定理を用いると
● \(\cos{θ}=\dfrac{a^2+b^2-e^2}{2ab}\)
● \(\cos{(180°-θ)}=\dfrac{c^2+d^2-e^2}{2cd}\)
という2つの等式が成り立つことが分かります。
ここで、三角関数の性質 \(\cos{(180°-θ)}=-\cos{θ}\) で \(2\) つの等式をつなげると…

\(e^2=\dfrac{(ac+bd)(ad+bc)}{ab+cd}\)
が求まります。
次に、これと同じことを三角形 \(BAD\) と三角形 \(BCD\) についても計算します。

すると
\(f^2=\dfrac{(ac+bd)(ab+cd)}{ad+bc}\)
が求まります。
最後に、\(e^2\) と \(f^2\) をかけ算してから平方根をとると

「向かい合う2組の辺をかけ算した合計 \(ac+bd\)」が「対角線の積 \(ef\)」と等しいことを示せました。
トレミーの定理を使った例題
問.四角形 \(ABCD\) は円に内接している。\(AB=7,BC=7,CD=5\),\(AD=3,AC=7\) のとき、\(BD=?\)

\(AB×CD+AD×BC=AC×BD\) なので
\(7×5+3×7=7×BD\) となり、\(BD=8\) と求まります。