数学の疑問

順列と組み合わせの数の公式。どちらを使うのが正しいか迷ったときの便利なテクニック

11913436786_fa99d2f1bb_z

いま、「1」「2」「3」「4」「5」の5枚のカードがあるとします。

 

この5枚のカードについて、2種類の問題を考えてみましょう。

 

①:「この中から2枚を使って2ケタの数字を作る場合、作れる数字は何通りあるか?」

②:「この中から2枚のカードを選ぶ場合、選び方は何通りあるか?」

 

fivecards

 

この2種類の問題では、それぞれ答えが変わってきます。

 

①は順列で、答えは 5P2=5×4=20通り

②は組み合わせで、答えは 5C2=5×4÷2=10通りになります。

 

今回は、そんな順列と組み合わせの数の考え方についてです。

photo credit:William Warby


スポンサーリンク

 

①順列

異なるn個の中から k 個を順番をつけて並べる場合の並べ方は P で表され、順列の公式から求められます。

 

junretu

 

「!」は階乗(かいじょう)と言って、n から 1 までのすべての整数をかけ算した値のことを n! と表記します。(ただし、0!=1と定義される)

たとえば、 7! は 7×6×5×4×3×2×1=5040 を意味します。

 

初めにあげた「1」「2」「3」「4」「5」の5枚で作れる2ケタの数

(12,13,14,15,21,23,24,25,31,32,

34,35,41,42,43,45,51,52,53,54)の20通り

 

これは、この順列の公式を使う事で

5P2=5×4=20通り

と求めることができます。

 

下のように表にして考えると、順列が 5×4=20 になるのが分かりやすいです。

5-4jun

「1」「2」「3」「4」「5」「6」の6枚のカードで作れる4ケタの数の場合は

6P4=6×5×4×3=360通りとなります。

 

②組み合わせ

一方、異なるn個の中から k 個を順番をつけずに選ぶ場合の選び方は C で表され、組み合わせの数の公式から求められます。

 

combination

 

組み合わせの数(C)は、ちょうど順列の数(P)を k! で割った値になります。

これは、順列では「並びだけが違う、組み合わせとして見たら同じものが1セットにつき k! 個ずつ存在する」のが理由です。

 

onaji-kumiawase

 

初めにあげた「1」「2」「3」「4」「5」の5枚から2枚を選ぶときの選び方

(12,13,14,15,23,24,25,34,35,45)の10通り

 

これは、この組み合わせの数の公式を使う事で

5C2=5×4÷2=10通り

と求めることができます。

 

下のように表にして考えると「並びだけが違う、組み合わせとして見たら同じものが1セットにつき 2!=2 個ずつ存在する」のが分かりやすくなります。

 

54kumi

 

「1」「2」「3」「4」「5」「6」の6枚から4枚を選ぶ組み合わせの数の場合は

6C4=(6×5×4×3)÷(4×3×2×1)=15通りとなります。

 

順列か?組み合わせか?の判断テクニック

coins

では、ここで問題です。

 

「コインを5回投げたうち、表が2回出るパターンは何通り?」

 

この問題では、順列と組み合わせ、どちらの公式を使うべきでしょうか。

 

正解は、組み合わせの数の公式。答えは 5C2=10通りとなります。

 

この性質から、組み合わせの数は「コインを5回投げたときに2回表が出る確率」を求めるときなどに、二項分布の確率関数で利用されています。

コイン投げから分かる二項分布。正規分布やポアソン分布との関係性と近似について コインを投げると、試行結果は基本的に「表」か「裏」かの2通りだけですよね。 ※試行:コイン投げのように同じ条件で何度も繰り返す...

 

「どちらの公式を使うべきか少し迷った」という方も多いのではないでしょうか?

 

このように、順列と組み合わせ、どちらの公式を使うべきか悩んだときに役に立つのが

「順番を並べかえたときに意味が変わるか?」で考えるテクニックです。

 

順番を並べかえたときに意味が変わる・・・順列

順番を並べかえても意味が変わらない・・・組み合わせ

 

たとえば、『5色の中から重複せずにカーテンとベッドの色を選ぶときの選び方』は

「青のカーテン+白のベッド」と「白のカーテン+青のベッド」では意味が変わるので、順列

一方、コイン投げは「1回目と4回目に表が出る」と「4回目と1回目に表が出る」では意味が変わらないので、組み合わせ

といった具合です。

 

①:2ケタの数「14」と「41」では意味が変わるので順列

②:「1と4を選ぶ」と「4と1を選ぶ」では意味が変わらないので組み合わせ