
ROE(自己資本利益率)は「株主から集めたお金を使って、どれくらい効率的に利益を獲得できたか」を測る指標です。
ROEが高ければ高いほど「その企業は効率よく利益をあげられている」と言えます。
会社の財務分析は、ROE抜きで語ることはできません。
ROEを過小評価すれば長期的には大きなリスクを抱えることになりますし
ROEを過大評価すれば大火傷する危険性があります。
単にROEの数字の大小だけで判断するのではなく「そもそもROEとは何なのか」をキチンと理解して、「この会社のROEが \(15\) %ということは何を示唆するのか?」を考えていきましょう。
ROEとは?その計算式
ROE(自己資本利益率、Return On Equity)とは、「当期純利益」を「自己資本(株主から集めたお金)」で割った値です。
株主資本・自己資本・純資産はほとんど同じと考えてOK
自己資本=株主資本+その他包括利益累計額
純資産=自己資本+新株予約権+少数株主持分
例えば「当期純利益が \(48\) 億円、自己資本が \(400\) 億円のA社」と「当期純利益が \(30\) 億円、自己資本が \(100\) 億円のB社」があった場合。
A社のROEは \(48÷400\) で \(12\) %、B社のROEは \(30÷100\) で \(30\) %となります。

当期純利益だけを見るとA社の方が稼げていますが、ROEはA社が \(12\) %・B社が \(30\) %なので、ROEからは「B社の方が自己資本(株主から集めたお金)を効率的に活用できている」と言うことができます。
ROEから分かる経営効率
経営効率を考えるうえでは、「利益額」よりも「利益率」の方が重要です。
例えば「①:3000万円の投資で年300万円稼ぐ会社」と「②:1000万円の投資で年200万円稼ぐ会社」なら、効率という意味では②のほうが優れています。
②と同等の条件の会社を3つ探して3000万円を分散投資すれば、不運にも1社が利益を出せなかった場合でも年400万円稼げるため、リスク・リターンの両面で優れた投資が可能になるからです。

このように、安全な資産運用を行ううえではROEを意識した投資が重要になってきます。
ROEの目安は、主に以下の通りです。

まず、ROEが \(5\) %程度の会社は資金を効率よく使えているとは言えません。
リスクの高い株式投資で年 \(5\) %程度のリターンでは、リスクリターンの釣り合わない投資先といえます。
PERの記事でも書いた通り、株式投資はそのリスクを考えると10年程度で投資金額を回収したいところです。
>>関連記事:PERの意味と使い方を分かりやすく解説。なぜ10倍なら割安と言われるのか?
今後収益性が落ちてしまう可能性も考えると、ROEは最低でも \(10\) %・できれば \(15\)%以上を目安に考えたほうが良いでしょう。
ROEの注意点
ROEは、単なる数字の大小だけで判断するべきではありません。
会社が意図的にROEを上げる方法はたくさんあります。
同業他社と比べて明らかにROEが高いときは、「優良企業だ」と早合点する前に色々な側面からその収益性を見ていきましょう。
①負債が多いとROEは高くなりやすい
ROEの分子である当期純利益は、その会社が持っている資産が働くことで生み出されます。
そして会社の資産は、ROEの分母である自己資本に加え、「借りてきたお金」である他人資本(負債)から調達されます。
そのため、「負債が多い会社はROEが高くなりやすい」という性質があるのです。

ROEは投資効率を考えるうえで欠かせない指標ですが、安全性の判断材料としては不十分。
ROEを見るときは「ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」という3つの要素に分解して、「①利益率が高い」「②資産を効率よく使えている」「③借金への依存度が高い」のどれに当てはまるのかを見極めることが重要です。

財務レバレッジなどにも目を向ける。負債の多い会社には注意
②自社株買いでもROEは高くなる
意図的にROEを上げる方法として少し前に話題になったのが、リキャップCBの発行です。
リキャップCBとは、新株予約権付社債(つまり負債)の発行と自社株買いを組み合わせた手法のこと。
新株予約権付社債の発行で負債が増加し、自社株買いによって自己資本が減少するので、実態はほとんど変わっていなくても手っ取り早くROEを高めることができてしまうのです。

こういった手法によるROEの上昇には注意しておきましょう。
自社株買いによるROEの水増しに注意
③ROEが高くてもそれ以上に株価が高いケースに注意
ROEが表しているのは、あくまでも「株主から集めてきた自己資本(≒純資産)に対して、どれくらい効率的に利益を獲得できたか」です。
「あなたがその株を買った金額(株価)に対して、どれくらい効率的に利益を獲得できたか」ではないんです。
1株あたり純資産と株価は違います。
ROEが高くても、それ以上に期待が大きすぎて株価が跳ね上がっている場合には、そのあと順調に成長していても「もっと成長すると思っていた。期待外れだ」と判断されて株価が暴落する危険性があります。

株価を1株あたり純資産で割った値であるPBR
株価を1株あたり純利益で割った値であるPER
これらの視点から見て割高な場合には、失望感から暴落するリスクを警戒しなければなりません。
>>関連記事:PBRとは何か。資産を守るために知っておくべき「割高」の指標
市場からの期待が大きすぎて株価が割高になっている会社には注意
まとめ
①ROE=当期純利益÷自己資本。ROEが高い方が株主から集めたお金を効率的に活用できていると言える
②安全な資産運用を行ううえではROEを意識した投資が重要。最低でも \(10\) %・できれば \(15\)%は欲しい
③ROEが高くても「負債が多い」「過剰な自社株買い」「それ以上に株価が高騰」といったケースは注意
会社の財務分析を行ううえで欠かすことのできない指標、ROE。
3つの注意点に気を付けつつ、上手く活用していきたいですね。