数学の疑問

必要条件と十分条件の違い。その意味と分かりやすい覚え方

「\(P\) ならば \(Q\)」が成り立つとき、記号では\(「P→Q」\)と書き

\(Q\) は \(P\) であるための必要条件

\(P\) は \(Q\) であるための十分条件

といいます。

 

また、\(「P→Q」\)と\(「Q→P」\)の両方が成り立つとき

\(Q\) は \(P\) であるための必要十分条件

\(P\) は \(Q\) であるための必要十分条件

といいます。(「\(P\) と \(Q\) は同値である」ともいいます)

 

今回は、必要条件と十分条件の見分け方・覚え方について書いていきます。


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必要条件と十分条件の見分け方

 \(P:\)「\(x\) は \(9\) の倍数」

 \(Q:\)「\(x\) は \(3\) の倍数」

これらの条件を満たす集合をそれぞれ図で表して、どちらが必要条件でどちらが十分条件か考えてみましょう。

 「\(x\) は \(9\) の倍数」ならば「\(x\) は \(3\) の倍数」である

⇒ \(9\) の倍数なのに \(3\) の倍数ではない数は存在しない

 「\(x\) は \(3\) の倍数」だからといって 「\(x\) は \(9\) の倍数」とは限らない

⇒ \(x=3,6,12\) などが反例として挙げられる

 

よって「\(x\) は \(9\) の倍数」→「\(x\) は \(3\) の倍数」が成り立つことから

 「\(x\) は \(3\) の倍数」は(「\(x\) は \(9\) の倍数」であるための)必要条件である

 「\(x\) は \(9\) の倍数」は(「\(x\) は \(3\) の倍数」であるための)十分条件である

となります。

 

「\(x\) は \(9\) の倍数」であるためには最低でも「\(x\) は \(3\) の倍数」という条件を満たす必要がある

「\(x\) は \(3\) の倍数」であるためには「\(x\) は \(9\) の倍数」という条件を満たせば十分

 

必要な条件=最低でも満たさないといけない条件=広めの条件

十分すぎる条件=厳しい条件=狭い条件

と考えると分かりやすいです。

 

覚え方

必要条件・十分条件の覚え方は色々ありますが、特にシンプルで覚えやすいのは

十分条件の「十」・必要条件の「要」に注目する方法です。

 

矢印を使って覚えるときは、「十→要」で『重要』と覚えます。

 

図を使って覚えるときは、「要」という漢字の中に「十」があることに注目して

『必要条件の中に十分条件がある』と覚えます。

 

必要条件・十分条件の判別問題

以下の( )の中に(必要・十分・必要十分)の3つのうち最も適切なものを入れてください。ただし \(x,y\) は実数とします。

 

問1:「\(x=2\) かつ \(y=2\)」は「\(xy=4\)」であるための( )条件である

問2:「\(x^2>25\)」は「\(x>5\)」であるための( )条件である

問3:「\(x+y=0\) かつ \(xy=0\)」は「\(x=0\) かつ \(y=0\)」であるための( )条件である

 

問1解答

「\(x=2\) かつ \(y=2\)」ならば「\(xy=4\)」である

「\(xy=4\)」だからといって「\(x=2\) かつ \(y=2\)」とは限らない。反例:\(x=ー2\) かつ \(y=ー2\)

よって「\(x=2\) かつ \(y=2\)」は「\(xy=4\)」であるための十分条件である

問2解答

「\(x^2>25\)」だからといって「\(x>5\)」とは限らない。反例:\(x<ー5\) 

「\(x>5\)」ならば「\(x^2>25\)」である

よって「\(x^2>25\)」は「\(x>5\)」であるための必要条件である

問3解答

「\(x+y=0\) かつ \(xy=0\)」ならば「\(x=0\) かつ \(y=0\)」である

「\(x=0\) かつ \(y=0\)」ならば「\(x+y=0\) かつ \(xy=0\)」である

よって「\(x+y=0\) かつ \(xy=0\)」は「\(x=0\) かつ \(y=0\)」であるための必要十分条件である

 

Tooda Yuuto
Tooda Yuuto
正解できたかどうかだけでなく、ぜひ「十→要」と「要の中に十がある」からも導き出せるかチェックしてみてください。