エビデンスとは何か。証拠・根拠との意味合いの違いについて

 

エビデンスとは、「証拠・根拠」を意味する英単語「Evidence」に由来する外来語です。

 

もともと医学・保健医療の分野から入ってきた業界用語で、「その治療法が科学的にみて効果がある・適切であると言えるだけの臨床結果がある」ことを「エビデンスがある」と言います。

 

今回は、エビデンスという言葉が使われる背景からその意味を見ていきましょう。

エビデンスとは

医学や保健医療において、エビデンスとは「信頼性の高い臨床研究による実証結果があること」を指します。

 

たとえば「△△という薬は関節の痛みを改善する効果があるのか?」という話の場合。

 

「 \(A\) さんも \(B\) さんも△△を摂ってから関節の痛みが治った。それが何よりの証拠」

「専門家の〇〇先生も△△を推奨していた」

 

こういった話には、確かに説得力があります。

 

ですが、これらの「証拠・根拠」が必ずしも医学的に信頼できるとは限りません。

 

人には、都合の良い情報を思い出してしまいやすい「バイアス(偏り)」があるために、さまざまな理由から「ほとんど効果がない治療法」が広まってしまうケースが珍しくないからです。

 

  1. 実際は20人中4人にしか効果がなかったが、その4人の話だけが広まった
  2. 薬を摂ったのと同じタイミングで症状が改善しただけで、改善した原因は他にあった
  3. △△を販売する会社から多額の紹介料をもらったからオススメした

 

このように「バイアス(偏り)」が含まれている可能性のある情報では、どこまで信頼して良いか分かりません。

 

そこで出てきたのが、「エビデンスレベル」という考え方です。

1991年にカナダのマックマスター大学ゴードン・グヤットによって提唱された概念である

「Evidence-Based Medicine(通称EBM)」が発祥

 

統計学的にみて

よりバイアスが含まれにくい情報を「エビデンスレベルが高い」

よりバイアスが含まれやすい情報を「エビデンスレベルが低い」

と評価することで、その情報の信頼性の度合いを分かりやすくする考え方が2000年代から広まってきました。

 

 

エビデンスレベルは「Level \(1\) 」が最も高く、数字が小さいほど信頼性が高いことを意味します。

「Level \(1=\) 信頼性の順位が \(1\) 位」

 

たとえば Level \(2\) の「ランダム化比較試験」は使用者と非使用者をランダムに分けて調査するもので、統計学的に見て「バイアス(偏り)」が含まれにくい手法となっています。

 

このようにバイアス(偏り)が含まれにくい手法によって得られた「その治療法が科学的にみて効果がある・適切であると言えるだけの臨床結果や科学的根拠」のことを「エビデンス」と言います。

 

 

日本語の「証拠・根拠」という言葉には、「バイアスを取り除く」・「信頼できる臨床結果がある」という意味は含まれていません。

 

そのため、近年の医学界では「本当に効果のある治療法を知るにはバイアスを取り除いた信頼できる臨床結果こそが重要である」という考えから、「証拠・根拠」という日本語ではなく、「エビデンス」という外来語を頻繁に使うようになっています。

 

「ランダム化比較試験を行わないと臨床研究として認められない」という考えは誤用なので注意。あくまでも「それぞれの目的にそった臨床研究の手法を採り、その時点で利用可能な最良のエビデンスを意思決定に用いること」がEBMの基本とされています。

 

エビデンスの重要性

現在、「エビデンス」という言葉は一般にはほとんど浸透していません。

 

実際、キチンと説明されなければ、「証拠・根拠」を英語に直しただけの言葉に「バイアスを取り除く」・「信頼できる臨床結果がある」というニュアンスがあると理解するのは難しいでしょう。

 

Tooda Yuuto
ぼくも、初めて「エビデンス」という言葉を聞いたときは「なんでわざわざ横文字に?」と思っていたくらいです。

 

しかし、「バイアスのない、本当に効果がある治療法を知りたい」と思っているのは皆さんも同じはず。

「△△は関節の痛みに効果がある」

「実は△△が効果があるというのはウソで、むしろ副作用が強い」

「△△の副作用が強いというのはデマ」

 

食い違った情報が毎日のように流れてくるこの情報化社会において、「どの情報がどの程度信頼できるのか」を分かりやすくするためには

  1. 医学界がより一般に分かりやすい形で「エビデンス」という言葉の意味と重要性を説明する
  2. ぼく達ひとりひとりが「エビデンス」をベースに情報を選ぶ習慣を身に着ける

の両方が重要です。

 

他の業界におけるエビデンス

近年では、医学以外の世界でも「エビデンス」という言葉がよく使われるようになっています。

 

ただし、医学における「エビデンス」とは意味が変わってくる点に注意が必要です。

 

IT業界におけるエビデンス

IT業界において「エビデンス」は主に

  1. 打ち合わせの議事録など、データや書面で記録を残すこと
  2. プログラムやシステムが要望どおりに動作していることを証明するもの

という意味で使われています。

 

「キチンと書面に残しておくことで、後でトラブルが起きないようにするためのもの」という意味合いが強いです。

 

銀行におけるエビデンス

銀行において「エビデンス」は

  1. 住民票・運転免許証・健康保険証などの公的な書類を示すこと
  2. 金融資産なら「名前と口座番号が入っている通帳やネットバンキングの残高表」を示すこと
  3. 海外送金なら「資金の出所」「送金目的」「送金額の根拠」を明らかにする書類を示すこと

という意味で使われています。

 

「手続きを行ううえで必要になる公的な書類」という意味合いが強いです。

 

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