
大人でも、読解力がない人は多いです。
読解力がないと、いま経済にどんな動きがあるのかを判断することができません。
同じニュースを読んでいても「GPIFが株への運用割合を増やすなら、日本の株価がしばらく上がると同時に、将来の年金のリスクが増える。なら、今のうちに日本株を買って、落ち着いたら債券に切り替えてリスクを減らそう」といった資産形成のチャンスを逃してしまいます。
また、読解力がないと相手の発言の意図が分からないせいで、情報に踊らされやすくなります。
詐欺に引っかかったり、欲しくもないものを買わされて後悔することも増えてくるでしょう。
インターネットが発達し、情報過多になった現代において「質の高い情報を見抜き、質の低い情報を捨てる」読解力は欠かせません。
今回は、そんな読解力を効率よく身につけるために重要な4つのステップを紹介します。
小学生・中学生でも今のうちから鍛えておくと現代文の成績upついでにニュースが読めるようになるので、ぜひ試してみてください。
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読解力がない原因は論理的思考力にある
よく、「読解力をつけるには、とにかく本を読め!」という人がいます。
しかし、ただ本を読むだけでは、いつまで経っても読解力は身につきません。
読解力とは、文章を「読んで」「理解して」「解釈する」力のことです。
つまり、本を読んで「面白かった」と思うだけではダメで、そこに書かれた「論理」を読み取って他の人に説明できるようになって初めて「読解力」が身についたと言えるのです。

その本に書かれた「論理」を読み取って人に説明できるようになるには、「いま目の前にある文章の論理構成を知る力」=論理的思考力が欠かせません。
①Who、Why、What、How
文章の論理構成を知るには、その文章を「Who」「Why」「What」「How」という4つの箱に入れるテクニックを使うのがオススメです。
※この4つに「When(いつ)」と「Where(どこで)」も含めた6つを「5W1H」と言います。

たとえば、以下の記事にこのテクニックを使ってみましょう。
約130兆円の公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、株式運用の割合を5割に高めることを柱とする新しい資産構成の目安を発表した。年金制度を維持するために積極運用に転じる。
この文章を、先ほどの4つの箱に入れていきます。

たったこれだけのことでも、ややこしそうな文章の意味がスッキリと見えてきますよね。
②論理を「なんで?」方向に伸ばす
4つの箱を利用して文章をスッキリさせたら、今度は論理を「なんで?」方向に伸ばす事を考えてみましょう。
この記事の場合であれば、「なんで株式運用割合を高めることが年金制度維持のためになるんだろう?」と考えるんです。

ここからさらに「なんで?」を繰り返すことで、論理的思考力・ニュースへの理解はさらに高まっていきます。
今回の話であれば「なんで株式運用割合を高めるとお金を増やしやすくなるんだろう?」→「運用は主に株式と債券の2つで成り立っている。そして、株式の方がリスクが高い分お金も増えやすく、債券の方がリスクが小さい分お金も増えにくい。だから株式運用割合を高くするとお金を増やしやすくなる(同時にリスクも高くなる)」といった感じですね。
③論理を「だからどうした?」方向に伸ばす
論理を「なんで?」方向に伸ばしたら、今度は論理を「だからどうした?」方向に伸ばしていきます。
この記事の場合であれば、「株式運用割合を高めたことがどんな影響を与えるんだろう?」と考えるんです。
記事をよく読むと、「株式運用割合を高める」とは具体的には「GPIFの株式運用割合は日本株12%外国株12%から、日本株25%外国株25%(=合計株式運用割合5割)に変わる」だと分かります。
そこから導き出される「だからどうした?」は「130兆円の13%に相当する約17兆円が、日本の株式市場に追加で流れ込んでくる」となります。

こちらでも、ここからさらに「だからどうした?」を繰り返すことが重要です。
今回の場合であれば、「日本の株式市場に約17兆円が追加で流れ込んでくる」→「つまり、日本株の需要が高くなる」→「日経平均株価がしばらくジワリジワリと上がっていく」→「今のうちに、日本の株を買っておくべきだ」といった感じですね。
④人に教えてみよう
十分に「なんで?」と「だからどうした?」を伸ばしていったら、最後はその論理がキチンとつながっているかをチェックしてみましょう。
論理がつながっているかをチェックする一番の方法は、「人に教えること」です。
論理がつながっていない主張は、人に教えても理解されません。
そのため、自分が「分かったつもり」になっていた部分や論理がつながっていない部分を知ることができるので、何回も人に教えるうちに論理的思考力が鍛えられ、効率よく読解力を高めることができるんです。

※実際、先述の記事が書かれた2014年末から2015年の8月頃にかけて、日経平均株価は15000円から20000円近くまでグングンと伸びていきました。