統計学

大数の法則・チェビシェフの不等式を証明してみよう!

 

今回は、大数の法則(弱法則)の証明方法を見ていきます。

 


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チェビシェフの不等式の意味

大数の法則(弱法則)は、チェビシェフの不等式から証明できます。

まずは、チェビシェフの不等式の意味から見ていきましょう。

 

期待値とは?

分散とは?

 

この式の意味は、 \(\epsilon\) に確率変数 \(Z\) の標準偏差 \(σ\) の倍数を代入すると分かりやすくなります。

\(\epsilon=2σ\) :確率変数 \(Z\) が期待値から2標準偏差以上離れた値をとる確率は \(1/4\) 以下

\(\epsilon=3σ\) :確率変数 \(Z\) が期待値から3標準偏差以上離れた値をとる確率は \(1/9\) 以下

\(\epsilon=4σ\) :確率変数 \(Z\) が期待値から4標準偏差以上離れた値をとる確率は \(1/16\) 以下

 

正規分布に従う確率変数では「期待値から2標準偏差以上離れた値をとる確率は約2.3%」「3標準偏差以上離れた値をとる確率は約0.13%」であることを考えると、かなり余裕を持った不等式と言えます。

たとえるなら、「身長190cm以上の人は全体の25%以下しかいない」と言っているくらい「そりゃそうだろうな」となる、精度の低い不等式です。

 

ただ、どんな確率変数でもこの不等式が成り立つというのは重要な事実です。

 

チェビシェフの不等式の証明

証明法は色々ありますが、以下はその一例。

確率変数離散型連続型を問わず考えられる証明法です。

 

 

大数の法則(弱法則)の証明

チェビシェフの不等式が証明できたら、あとは \(Z\) に  \(\overline{X}_{(n)}=\frac{X_1+X_2+\cdots+X_n}{n}\) を代入して、\(n \to \infty\) の極限をとれば大数の法則が証明できます。

 

 

Tooda Yuuto
Tooda Yuuto
「大数の法則により、標本平均は母平均に収束する」というと強力な法則のように聞こえてしまいますが、チェビシェフの不等式という「ゆるい不等式」でも \(n\) をとんでもなく大きくすれば「標本平均は母平均に収束する」と言えるんだよ、くらいのゆるい法則であることが分かります。