【運ゲーとは何か?】確率は収束するが運は収束しない【前編:なぜ確率は収束するか】

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サッカー・ビリヤード・トランプ・FPS・ルーレット・将棋・麻雀・格闘ゲームetc…

世の中には様々なゲームが存在しますが、どんなゲームであっても「運が勝敗を分ける」ことがあります。

運という不確定要素はゲームにスパイスを与え、時にドラマチックな展開を生みだしてくれるものです。

ただ、運が勝敗を分けることが多くなってくると「これは運ゲーだ」という言葉を耳にするようになります。

今回は、この「運ゲー」について考えていきましょう。

photo credit: conorwithonen

運ゲーとは?

運ゲーとは「その勝敗が、プレイヤーの技量よりも運の要素に左右されることが多いゲーム」のこと。

技量と運という同一条件での数値化が難しいものに対して「多い」という主観的な言葉を使っていることからも分かる通り、運ゲーには明確な定義が存在しません。

「運ゲーかどうか」は個人の印象により決まるのです。

そのため、一見すると運が入り込む余地のない将棋ですら、上級者が「意外と将棋も運ゲー」と発言することもあります。

一般的には、「1試合では実力差が見えにくいゲームであるほど運ゲーと呼ばれやすい」傾向にあります。

例えば…

麻雀:トッププロと初級者3人の1試合でもトッププロが負けることは少なくないので、運ゲーと呼ばれやすい

パズルゲーム:トッププレイヤーと初級者なら何戦してもほぼ100%トッププレイヤーが勝つので、運ゲーと呼ばれることはそう多くはない。ただし、上級者vs中級者ではパズルの組み合わせ次第で運よく中級者が勝つケースも少なくないので、運ゲーと呼ばれることもある

ビリヤード(9ボール):上級者と初級者なら何戦してもほぼ100%上級者が勝つので、運ゲーとは呼ばれにくい。ただし、プロvs上級者の1試合では上級者がマスワリ(ノーミスでゲームを終えること)で勝ってしまうことも少なくないので、運ゲーと呼ばれることもある

運と確率

仮にあるゲームが運ゲーだったからと言って、
「運の良し悪しが全てで、実力を上げる意味はない」かというとそんな事はありません。

例えば、多面ダイスの出目の累計を競うゲーム。まず間違いなく運ゲーでしょう。

この運ゲーにおいて、運が悪いと評判の人に8面ダイスを、運が良い人と評判の人に6面ダイスを投げさせて、どちらが勝つか勝負させてみてください。

By: Lydia

By: Lydia

初めの内は、運が悪いと評判の人は連続して小さな目を出してしまうかもしれませんし、
運が良いと評判の人は『6』を連発するかもしれません。

しかし、何回も投げていくにつれてジワリジワリと「8面ダイス」が追い上げていき、しまいには追い抜いてしまいます。

なぜか?

それは「確率は収束する」からです。

「確率は収束する」とは?

言葉で表すとこうなる

「確率は収束する」。

この言葉の意味する所はほぼ一意に定まっており、以下のように定義できます。

・{X1,X2,…,Xn}を互いに独立で同一の確率分布(平均がμ)に従う確率変数とする。{X1,X2,…,Xn}の平均をAnとしたとき、Anの標本分布は標本の要素数nを大きくするにつれ、母平均 μ に近づいていく

直感で理解できるように言い換えると

サイコロを数回しか投げない時は「1の目」の出る割合は1/6から大きく離れることもあるが、 何回も投げるにつれて「1の目」の出る割合は1/6に近づいていく傾向が出る

という事です。 (細かいことですが、「傾向が出る」は重要なキーワードです。)

表で表すとこうなる

実際にサイコロを使って、確率の収束を見ていきましょう。

下の表は、サイコロを12回振った時の確率の分布です。

この表の見方は、「12回サイコロを振った時に『1の目』の出る割合」が2/12になる確率が0.29609…(=約29.6%)ということを表しています。(大体30%の確率で1の目が2回でる、ということ)

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表の囲っている部分の確率を合計すれば分かる通り、
「12回サイコロを振った時に『1の目』の出る割合」が「1/6(=2/12)」との誤差±1/12以内におさまる確率は約76%。

裏を返せば、12回サイコロを振っても「1の目」の出る割合が1/6から大きく離れてしまう「偏った事象」が起きる確率が約24%もあるということです。

次は試行回数を4倍にして、サイコロを48回振った時の確率分布。

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表の囲っている部分の確率を合計すれば分かる通り、
「48回サイコロを振った時に『1の目』の出る割合」が「1/6」との誤差±1/12以内におさまる確率は約92.2%。

裏を返せば、「偏った事象」が起きる確率はたったの7.8%にまで下がっているということです。

参考:高精度計算サイトke!san (※分かりやすいよう「出る回数」を「出る割合」に変換して記載)

以上のように、試行回数(サイコロを振る回数)を増やせば増やすほど、「偏った事象」が起きる確率が下がっていく。

これが「確率は収束する」の意味するところです。

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具体例を出すなら「すごろくで『初めの3ターン連続で5以上を連発する』ことはたまにあっても『初めから最後まで4以上を出し続ける』ことはまず無い」がこれに当たります。

なぜ確率は収束するのか?その理由

上の図をみると「サイコロを振って1の目がでる割合は1/6に引き寄せられるんだ!」と思う方もいるかもしれませんが、これはそういうわけではありません。

飽くまでも「偏った事象」が起きにくくなるだけの話です。

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確率が収束する理由は「確率が理論値に引き寄せられるから」ではなく、「偏った事象はそう何度も起きないので、試行回数を増やせば全体的に偏りが減るから」が正しいという事です。

運は収束するのか?

以上を運ゲーに当てはめると、

「試行回数を増やせば増やすほど、勝率が『実力から離れた偏った値』になる確率が下がっていく」

という事になります。

試行回数を増やせば「実力から離れた結果」になりにくくなるので、
運ゲーであっても実力をつける意味は大いにあるというわけです。

ただ、この話を聞いて「なるほど、運ゲーも試行回数を増やせば運が収束して勝負の結果は実力に近づいていくんだな」という人がいますが、それは厳密には正しくありません。

ここが確率収束論の罠だったりするんです。

これについては、後編で詳しく説明していきます。

前編のまとめ

①運ゲーとは「その勝敗が、プレイヤーの技量よりも運の要素に左右されることが多いゲーム」。1試合では実力差が見えにくいゲームほど運ゲーと呼ばれやすい

②運ゲーであっても、試行回数を増やすと実力のある方が好成績になる

③なぜなら、試行回数を増やすと「偏った事象になる確率」が下がり、「実力から離れた結果」になりにくくなるから。この現象は「確率は収束する」と呼ばれている

④確率が収束するのは「理論値に引き寄せられるから」ではなく「偏った事はそう何度も起きないから」

⑤確率が収束するからといって「運ゲーであっても試行回数を増やせば運が収束して、結果が実力に近づいていく」かというとそうでもない

後編では、この⑤を掘り下げて「運は発散する」という話をしていきます。

良ければ、読んでいってください。

確率は収束するが運は収束しない【後編:運は皆平等ではない】
「どんな人でも運の良い事もあれば悪い事もあり、長期的に見れば運は皆平等である」 とい